透明水彩絵具の特徴と魅力

透明水彩絵具の色彩のきれいさ、にじみやぼかし…

絵具と水が作る透明で美しい色の世界、見ているだけで癒されるようですね☆

創作画や物語の世界、メルヘンの世界などを描くとき、透明水彩絵具ってと〜っても魅力的を発揮する着色画材の1つなのではないかな、って思います(^^

私も絵を描く時、キャンバスの場合はアクリル絵の具なんですけど、紙に描く場合は透明水彩絵具を使うことが多いです。

ただ

「使い方が難しい」

…って声を聞くことが多い画材でもあります。

そんな透明水彩絵具について、たくさんのサイトで語られていることかなって思いますけど、今回は私なりに透明水彩絵具の特徴と魅力について書いてみたいと思います(^^

透明水彩絵具とは

特に絵を習ったりしたことがない方だと、大人の人でも水彩絵具=小学校の時使っていた絵具、ってことで、水彩絵具にも種類があるんだよってことを知らない場合があります。

水彩絵具は…

・透明水彩絵具(ウォーターカラー)

・不透明水彩絵具(ガッシュ)

主に2種類にわけられます。

小学校の時に使っていた、みんな一度は使ったことがあるんじゃないかなってあの水彩絵具…

あの絵具は「不透明水彩絵具」のほうになります。

どちらの絵具も顔料とアラビアガムを混ぜたものですが、その比率や顔料の種類などによって不透明水彩絵具と透明水彩絵具にわけられます。

透明水彩は顔料の粒子が細かいので、顔料の隙間から紙などの素材が透けて見えて透明感のある着色ができる、ということです。

水彩画って古い歴史があるそうなんですけど、バロック時代は油彩画家がスケッチや模写に使ったり…という使い方が一般的で、メインの着色画材としては扱ってもらえていなかったようです。

そして、18世紀のイギリスで広く普及した水彩画ですが、当時はお嬢様のたしなみ!

…っていいますか、貴族の子女の教養の1つだったそうです。

今は、油絵が上とか、どっちが上で下で、なんてことはないですよね(^^

ただ、特徴や使い方、表現方法なんかは大きく違います。

透明水彩絵具の使い方の特徴

透明水彩絵具の使い方の特徴として、私がまずあげるとしたら

白い絵具を使わない

ってことかなって思います。

白は不透明度が高いので、白い絵具を混ぜてしまうと透明ではなくなってしまうのです。

じゃあ、白い部分はどうするの?っていうと…

紙の白を残します。

私が開催している絵画教室の生徒さんに伺ったりするところによると、この「紙の白を残す」って使い方がちょっと難しいところなんじゃないかなって思います。

特徴を明確にするために不透明水彩絵具(ガッシュ)と比べてみますね~

不透明水彩絵具(ガッシュ)の場合は

  • 白い部分に白を塗る
  • 色の濃淡に白を使う
  • 暗い色濃い色の上からでも明るい色を塗り重ねることもできる

 

透明水彩絵具(ウォーターカラー)の場合は

  • 白い部分は紙の白を生かす
  • 色の濃淡は水の量で調整する
  • 一度暗い色濃い色を塗った上から薄い色・明るい色を塗り重ねて明るい色を表現することはできない

といった感じで、ネガポジ反転くらいの違いがあるかもしれませんね。

あと、さっき「透明水彩とは」のところで書きましたが、

透明水彩は顔料の粒子が細かいので、顔料の隙間から紙などの背景が透けて見えて透明感のある着色ができます。

つまり、先に塗った色が乾いた上から別の色を塗ると、先に塗った色が反映されて色が混ざり合います。

不透明水彩絵具(ガッシュ)の場合はパレットの上で絵具と絵具を混ぜ合わせて混色しますよね。

透明水彩絵具の場合パレット上でも混色できますが、紙の上で単色を塗り重ねることで、透明な色付きフィルムを重ねたようなより透明感のある着色ができるのですね。

↓図にするとこんな感じです

絵具って混ぜると色が濁る(鮮度が下がる)という性質があるので、パレット上で絵具同士を混ぜると鮮度が下がります。

だけど、単色同士の塗り重ねをした場合は絵具同士を混ぜるわけではないので、濁りのない色味を表現することができるのです。

あと、透明水彩らしい使い方っていうと、にじみやぼかしを使った表現方法があげられますね。

たっぷりの水を使って描くにじみやぼかしの表現。

いいですよね♪

一番水彩らしい表現方法かな~って思います(^^

透明水彩を使うときの技法

さっきもご紹介した透明水彩の具の表現方法、にじみ・ぼかしですが、透明水彩にはその他にもたくさんの技法があります。

そのいくつかをご紹介します。

ウォッシュ

基本的な技法ですが、たっぷりの水を使って塗ること。

ウェットオンドライ

一度絵具を塗って乾かしてから違う色を塗り重ねること。

ウェットインウェット

先に塗った色が濡れているうちに色を重ねること。

グラデーション

これは水彩だけの技法の言葉ではないですけど、色を段階的に変化させて塗ること。

バックラン

塗った絵具が半分乾いたくらいの状態で水、または他の色の絵の具液を、ポタッとたらします。
そして自然にできた跡、というか模様と言うかがバックランです。

スパッタリング

絵具を含ませた筆をはじいて紙の上にしぶきを飛ばす技法です。
筆の他に歯ブラシなどを使ったり、専用のアミとブラシを使ったりします。

ドライブラシ

水を少なく、筆が乾いたような状態でこすりつけるような感じで塗り、カサカサした乾いた質感を作ります。

ウォッシング

一度塗った色を、筆や布で溶かして落とすこと。

マスキング

乾いた状態の紙にマスキングテープやマスキング液を使ってマスクし、着色後にマスクをはがします。
マスクをしていた部分が白抜き、または、先に塗った色のまま残ります。

その他、塩が水を吸う性質を生かして、絵具を塗って塗れた状態で塩をふり、乾いたら塩の粒を払い落とす、なんていう技法もあります。

多分透明水彩絵具を使っている人だったら「名前は覚えていないけど普通に使っているよー」って技法も多いのではないでしょうか?

ここに書いた以外にもいろいろな技法はあるかもしれないですが、私はウォッシングとか人為的な技法は透明水彩の場合はあまり使わないかなぁ。

水の力(時には風や湿度なども)が作り出す、必ずしも自分の意図だけでは計り知れないないにじみやぼかし、透明水彩の色の美しさ…

みたいな、シンプルな使い方が好きです(^^

でも、いろいろな技法を覚えて使ってみると、表現の幅が広がって楽しいと思います☆

透明水彩の使い方が難しく感じる理由は…

美しい色彩と多彩な表現で、創作の世界を描く時にぜひ使いたい!って着色画材のひとつである透明水彩絵具ですけれど、私がやっている絵画教室の生徒さんの中では「難しい~」というお声を聴く絵具でもあります。

それは、「透明水彩絵具の使い方の特徴」のところでご説明した

  • 白い部分は紙の白を生かす
  • 一度暗い色濃い色を塗った上から薄い色・明るい色を塗り重ねて明るい色を表現することはできない

って部分かなって思います。

例えば、油絵とかアクリル絵の具だったら暗い色濃い色の上からでも明るい色を塗ることができます。

失敗したら上から白で塗ったり、ジェッソで塗りつぶして描き直すこともできます。

あと、色鉛筆も完全ではないですけど、失敗しても消しゴムで消すことができますよね。

ですけど、透明水彩絵具の場合は、「うっかり先に濃い色くらい色を塗っちゃったら一巻の終わり!」みたいな気がしてしまうんだそうです(^^

たしかに、透明水彩であとから色を薄くしたい、ってことになったら、水を含ませた筆で紙の表面を洗って落とすようになります。

ちゃんと高級水彩紙を使っていれば案外丈夫なんで、多少こすって洗っても紙がボロボロになっちゃうことはないんですけど、濃い色だと完全に落ちない場合も多いです。

小さな面積の場所ならそんなに影響がわからないかも?とは思いますけど、広い面積の部分を暗い色から明るい色へ変えたい、って言うのは難しいと思います。

あとね、一度作ったにじみやぼかしを同じように再現するってできないです。

だから、失敗したくない、なんだか透明水彩は緊張する~って言うお気持ちはとっても良くわかります。

わかるんですけど…

万が一失敗したらまた新しい紙に描けばいい

って思ってみるのもありなのではないでしょうか(^^

たしかにね、途中まで上手く行っていた絵を最初から描き直すって勇気がいりますよね。

でも、きっと今よりもいい絵になる!、って信じて描き治すことができれば、別に透明水彩の修正しづらいって特徴も怖くないんじゃないかなって思います(^^

特に、創作画の場合、別に下絵を描いて本描き用の紙に転写して着色する場合も多いと思いますので、一からやり直しってわけでもないですから。


↑ちなみにこの作品は制作中に、絵画教室の小学生が「わー、先生見せて!」ってよってきて、勢いでお水をかけてしまった、って事件があったのですが無事修復し、その後個展のお客さまにご購入いただきました(^^

透明水彩絵具に使う筆

透明水彩絵具を使う場合の筆ですが、素材としてはセーブルやリスなどの純毛の筆が良いと言われています。

コシの強いタイプでセーブル、水の含みが良くて柔らかく塗るのに向いているリス毛、ってあたりが透明水彩の場合にお勧めされる場合が多いのではないかと思います。

画材屋さんへ行ってみるとわかると思いますが、透明水彩の筆ってピンからキリまで、値段に大きな差があります。

同じ号数でも数百円のものもあれば一万円以上するものもあります。

ただ、値段が高いから使いやすいかって言うかと、やっぱり感じ方には個人差もあると思います。

以前に教室の生徒さんが1本6000円くらいの細筆を買われていましたが、「使いづらい!」って嘆かれていました(^^;

なので、道具は最初からいいものを揃えた方がいいっていう説もそれは一理あるのですが個人差もあるので、一度にセットで揃える、とかではなくてお試しで購入してみて使ってみるといいのではないかなって思います。

ちなみに、私が持っている水彩の時に使う筆はセーブル丸筆、リセーブル丸筆、リセーブル平筆太目のもの中心、彩色筆などの和筆、刷毛などです。

セーブルの筆も持ってはいますが、普通に描く時にメインで使っているのは実はリセーブルなんですよね(^^;

リセーブルとは純毛ではなくて、人口毛と獣毛を合わせて作られたものです。

価格は安いですが、比較的コシが強くて私は使いやすいと思います。

で、自分が持っている中でついつい使いやすい筆を使っていたらリセーブルを多く使っていたってことですが、リセーブルの筆と私が持っているセーブルの筆でも、値段的には4~5倍違うんじゃないかなぁ。

でも、値段ってことじゃなくて、使い勝手が気に入ってリセーブルを多用しています。

以前にたまたま見たサイトの画家さんがめっちゃお勧めしていた、他メーカーの人口毛の筆を買ってみたこともありますけど、それはちょっと自分には使いづらく感じました。

思いがけないタイミングで筆から水がもっさ~って降りてくる感じで。

なので、本当に使い心地の感じ方は個人差があるなって思います。

私がやっている絵画教室では、まずは私が使っている筆を使ってみていただいて、使い勝手を確認してから揃えていただくようにしています。

透明水彩絵具を使う時の紙

透明水彩絵具を使うときは、画用紙などではなくて水彩紙を使います。

これは文房具屋さんやホームセンターではなくて、画材屋さんで購入します。

透明水彩を描く時に、絵の仕上がりにすごく影響するのが使う紙。

透明水彩絵具はたっぷりの水を使って描く絵具ですので、普通の画用紙を使うと紙がボロボロになってしまいます。

水彩紙は丈夫で厚さも選べます。

あと、紙の目の粗さ(表面のぼこぼこ加減)や、白に近い紙がいいのか?アイボリーっぽいのがいいのか?自分の作風や好みによって選ぶことができます。

画材屋さんでは、スケッチブックタイプ、ブロックタイプ、1枚単位など、使い勝手によっていろいろなタイプで売られています。

スケッチブックタイプ

一般的なスケッチブックの形をしています。
旅行に持っていくとか、外で描くときなど持ち歩きに便利です。

ブロックタイプ

紙の四辺をノリで固めてブロック状にしたものです。
描いたあとにはがすので、水張りの必要がなく、画板もいりませんね。

1枚単位

画材屋さんでは、四六版全版とか、四六判半切、四つ切り、など、好みのサイズで1枚単位で紙を買うことができます。

私が購入しているのはこの1枚単位のタイプです。

水彩紙は種類もたくさんあります。

アルシュ紙、ワトソン、ウォーターフォード…

って感じで、名前だけ見たら何が何やら?ですが、画材屋さんに行くと紙見本を見せてもらえるので、厚さや目の粗さや色など、自分の好みの紙を選ぶことができます。

ちなみに、水彩紙って高価なものはすごく高価です。

紙はいいものを使った方がいいわけですが、値段が高いから、有名だから「自分にとって」いいか?って言うとそうとも限りません。

1枚単位で購入できる場合は、何種類か購入してみて使い比べてみると良いと思います。

ちなみに、私が好んで使っているのはホワイトワトソンです。

目の粗さが程よく、紙が白い、厚さも厚口から超特厚まで選べて、お値段も手頃です。

あ、あと、1枚単位で購入した場合は、透明水彩で描く場合は「水張り」をした方がいいです!

水張りについては、めっちゃ長くなってきたのでまた今度詳しく書きたいと思います(^^

創作画で魅了を発揮する透明水彩絵具

水彩絵具ならではの色のきれいさ、ぼかしやにじみで作る幻想的なイメージ。

メルヘンや物語の世界を描く創作に、魅力を発揮する絵具だと思います(^^

これからどんな画材で創作していこうかなぁ~って考えている方は、一度使ってみるといいのではって思います。

私がやっている絵画教室でも、すでに色鉛筆で制作活動をしている、すでにパステルで制作活動をしている、今まで油絵で描いていた

だけど透明水彩をやってみたい!

といって通ってくださった方もいらっしゃいます。

にじみとかぼかしの透明水彩ならではの美しさ…、幻想的な世界観がお好きな方はぜひ使ってみてくださいね♪