透明水彩で創作画を描くときに役立つこと

私は創作画を描くとき、紙に描く場合は透明水彩絵の具を使っています。

透明水彩の特徴と魅力についてはこちらをご覧ください(^^

で、今回は、透明水彩で創作画を描くときに役立つこと、について描こうと思います。

描き方とか具体的な手順なんかはたぶん人それぞれですよね。

なので、決まったやり方があるって言うことではないのですけど、これから初めて透明水彩を使ってみようかな~って場合、水彩画を描く時にこれ知っていると役に立つんじゃないかな、ってこと書いてみました♪

透明水彩の技法あれこれ

透明水彩絵の具の技法はいろいろあります。

技法の名前を覚えることもないかもしれませんけれど、こんな技法があるのかぁ、ってことでご覧ください。

ウォッシュ

基本的な技法ですが、たっぷりの水を使って塗ることです。

たっぷりの水、ってところがポイントでしょうか。

ウォッシュのコツは最初に必要な量の絵の具液を作っておくことです。

塗っている途中で絵の具液が足りなくなる

慌ててまた絵の具液を作るけど、同じ濃度の絵の具液は作りづらい…

絵の具液を作っている間に先に塗ったところが乾いてしまう

乾いた部分に塗り直すことで、あとができたり、ムラになったり…。
しかも、最初に使っていた絵の具と微妙に色が違う!

なんてことになりかねませんから。

最初に絵の具液をたっぷり作っておいて一気に塗ると、均一できれいな状態に塗ることができます。

ウェットオンドライ

先に塗った色が「しっかり乾いてから」違う色を塗り重ねることを「ウェットオンドライ」といいます。

塗り重ねる時、筆でぬりぬりぬりぬり…

ってすると先に塗った色が溶け出して色が混ざったりムラになったりします。

あと先に塗った色がしっかり乾いていないと、色が溶け出したりムラになったりします。

塗り重ねる色は先に塗った色がしっかり乾いてから、さっと塗るようにするといいと思います。

ウェットインウェット

先に塗った色が「塗れているうちに」色を塗り重ねることを「ウェットインウェット」といいます。

絵の具と絵の具は混ぜると濁る(鮮やか度が下がる)っていう特徴がありますが、水にまかせて自然に色を置く感じにすると濁りません。

紙の上で筆で色を混ぜ混ぜしちゃうと濁りますよ。

水の力にまかせて、時には自分の思惑以上の魅力を見せてくれる透明水彩らしい技法じゃないかなって思います(^^

グラデーション

これは水彩だけの技法の言葉ではないですが、色の濃淡、または色から色へ、自然に変化させて塗ることです。

お花の花びらを、ただ単色で塗るのではなくて薄いピンクからから濃いピンクへ変化させて塗る、とか、夕焼け空の色の変化を表現する、とか…

単色で塗るだけでなく色の変化を表現することで、色彩に広がりがでて絵の完成度も上がると思います。

バックラン

塗った絵具が乾いていないうちにうっかり別の絵の具をたらしてしまった…

と思ったら、なんだかおもしろい跡ができた!って経験はないでしょうか。

塗った絵具が半乾きくらいの状態で水、または他の色の絵の具液を、わざとポタッとたらします。

そして触らず放置。

絵の具が乾いて自然にできた跡、というか模様と言うかがバックランです。

スパッタリング

絵の具をはじいて紙の上にしぶきを飛ばす技法です。

絵の具液を含ませた筆を指でははじいたり、専用のアミとブラシを使ったり、筆の他に歯ブラシなどを使ったりすることで、いろいろな飛沫を作り出すことができます。

どの方法にしろ、はじいた絵具をつけたくない部分には、紙などでマスクを作って保護する必要があります。

ドライブラシ

絵の具液に混ぜる水を少なくして、筆が乾いたような状態で紙にこすりつけるように塗ります。

かすれたようなカサカサした乾いた質感を作ります。

この技法は私はアクリル絵の具で塗るときは使うこともありますけど、透明水彩ではほとんど使ったことないです。

乾いた筆でこすりつけるような塗り方をすると筆が痛む可能性があるので、古い筆を使うといいと思います。

ウォッシング

一度塗った色を、水を含ませた筆で軽くこすったり、布で溶かして落とすことです。

紙が塗れた状態で表面をこすると画用紙などはボロボロになってしまいますが、ちゃんと水彩紙を使えば軽くこする分には大丈夫です。

マスキング

乾いた状態の紙にマスキングテープでカバーしたり、マスキング液を使って描いたりします。

マスキングテープ、またはマスキング液が乾いたら上からさらに着色し、絵の具が乾いたらマスクをはがします。

マスクをしていた部分が白抜き、または、先に塗った色のまま残ります。

マスキング液は指でこすってもはがれますが、はがす用のゴムも売っています。

塩を使う

塩が水を吸う性質を生かした技法です。

絵の具を塗って塗れた状態の上に自然塩を振ります。

全体が乾いたら塩の粒を払い落とすと、塩が絵の具液を吸った部分が跡になって模様を作ります。

などなど。

さまざまな技法がありますね!

透明水彩で着色する場合の制作の流れ

静物画を描く時なんかは、直接水彩紙に下描きする場合が多いと思うのですが、創作の場合はまずは他の用紙に下絵を描く方が多いのではないかな?って思いますが、どうでしょう(^^

私はある程度構図が明確に決まっていれば、直接水彩紙に下描きしちゃう場合もありますけれど、大体は適当な紙に下絵を描き水彩紙に転写します。

その理由は、鉛筆で描く時に何度も消しゴムで消したり書き直したりすると、水彩紙が痛んで水彩絵具で着色する時に跡が残ったり、紙が汚れたりするからです。

転写した線よりも、直接描いた勢いのある線の良さって言うのもあると思うので、どちらがいいとも言えないんですけどね…。

人物の表情なんて、(転写する前の)最初に描いた顔が一番魅力的だなーって思うときもあります。

…とはいえ、水彩紙がボロボロになって透明水彩の美しさが損なわれることは避けたいところですね。

私が水彩絵の具で着色するときの流れとしては…

適当な用紙に下絵を描く

水彩紙に転写する

水彩絵の具で着色する

という感じで進めることが多いです。

下絵を転写する方法

思いついたアイデアを描いた線の勢いや人物の表情など、最初に描いたときが一番良いな、って思うときはよくありますが…

着色用の水彩紙を何度も描き直したり消しゴムで消したり、ってして紙が痛む場合は、別の紙に下描きを描いて転写した方が良いと思います。

で、絵画教室の生徒さんによく聞かれるのが

別紙に描いた下絵をどうやって着色用の水彩紙に転写するのか?

ってことです。

「お子さんやお孫さんを主人公に創作画を描きたい」のところでは、写真からの転写方法について書いています。

下絵からの転写もほぼ同じですが、改めてご紹介します。

下絵は水彩画で着色したい原寸で描いておくとラクです(^^

下絵の線をトレースして転写する

下絵はできればコピーしましょう。

コピーができない場合はそのまま使ってもいいですが、裏面を鉛筆で黒く塗ってしまうので、下絵を保存しておく場合、またはもう一度同じ下絵で制作したいときは汚れがつかないように注意が必要ですね。

あと、このやり方で転写する場合は、下絵をあまり厚い紙に描いてしまうと上手く転写できません。

下絵はコピー用紙などの薄めの紙に描いておいてください。

下絵、または下絵をコピーしたものの裏面を濃いめの鉛筆で黒く塗ります。(全体ではなくて、線がある部分だけで大丈夫です。)

鉛筆で塗った面が水彩紙の表面にくるように、水彩紙にマスキングテープで固定します。

表面から鉛筆で線をなぞります。
この時あまり強くなぞると紙に跡がつくのでお気をつけ下さい。
でも、あまり弱くなぞると転写できませんので、時々紙をめくってちゃんと転写されているかご確認くださいね。

全部なぞり終わったらマスキングテープをはがします。

薄いところなどは描き足します。

下絵の裏を直接黒く塗らないで、トレーシングペーパーに一度写したあと転写するやり方もあります。

これだったら下絵そのものの裏を鉛筆で塗らなくていいな、とは思うのですけど、トレーシングペーパーって鉛筆の粉がぽろぽろ落ちて、水彩紙が真っ黒に汚れることがあるんですよね。

個人的にはコピー用紙などに描いた下絵、または下絵をコピーしたものの裏を、鉛筆で塗るやり方をお勧めしています。

それにしても少しは紙の表面が汚れるので、写し終わったらねり消しで汚れを落としてから着色を開始しましょう。

グリッド(マス目)を使って転写する

下絵とは大きさを変えて転写したい場合で、コピーなどで拡大縮小できない場合はグリッド(マス目)をひいて転写する方法があります。

下絵に正方形のマス目を引きます。

転写したい紙にも、下絵と同じ数の正方形のマス目を引きます。
この時、紙の大きさに応じて、マス目の大きさも変化します。

正方形のマス目を目安にしながら下絵を写します。

この方法は高校生のときの美術で模写をする時に習いました(^^

ライトテーブルを使った転写方法

ライトテーブルと言う電気がつく台が売られています。

ライトテーブルの上に下絵と水彩紙を重ねておくと、電気の灯りで透過されて下絵の線が水彩紙に透けて見えます。

私のは昔から使っているライトテーブルなので、やたら厚さがあるのですけど、最近売られているのは薄くてコンパクト、しかも結構安いので、頻繁に使う人は持っていると便利かもしれませんね。

水張りについて

適当な用紙に下絵を描く

水彩紙に転写する

水彩絵の具で着色する

という透明水彩絵の具で着色する流れの中で、水彩の技法や転写の方法は書きましたが、もう1つ大切なことがあります。

それは「水張り」です!!

水張り (みずばり) とは、水彩画など、水を溶媒とする絵を描くときに紙に歪みが生じにくいよう、一旦水に塗らした紙をパネルに張り付けるという手法である。
紙が水に濡れると繊維の間に水が入って伸び、ふたたび乾くと元に戻るという性質を利用している。
たとえばスケッチブックなどに水彩画を描くと、生じた紙の凹凸が完成後の絵にも残って不恰好な形となってしまう。
しかし水張りした紙を利用すれば、彩色中に紙が波打って変形しても、乾かせば元に戻り、水張りしたパネルからはがせば凹凸のない面となるわけである。
(Wikipediaより引用)

透明水彩はたっぷりのお水を使って描く絵具です。

なので、紙が水を吸って波打ちます。

描きにくいって言うのもそうなんですけど、完成してからも紙がヨレヨレだと、仕上がりの見た目にも影響します。

時々、絵の展示を拝見していて、水張りしていない状態で額装しているのを見かけると、額の内側で紙が波打っていてちょっともったいないなって思います。

同じ仕上がりでも、紙がヨレヨレなのとぴしっと伸びているのでは見栄えも違う!って私は思っています。

あとね、描いている最中に紙が水を含んで波打ったり丸まったりしていると、波打っている溝に絵の具がたまっちゃったりして、自然なにじみができません。

もちろん、水張りは着色する前にやらなくてはならないので、外でスケッチブックに描いたものを額装する、なんて場合は無理ですけど、創作画の場合は外でスケッチするわけではないので、1枚単位の紙に描く場合は水張りした方がいいです。

ブロックタイプの紙(紙の四辺を糊で固めてブロック状に加工したもの)の場合は、水張りを省略できますが、ブロックタイプの紙はライトテーブルを使えないってこともあって私は使っていません。

水張りは大きな紙を使う場合は、木製パネルよりも大きめのサイズで貼って、はみ出した部分をパネルの側面に折り曲げて水張りテープで固定します。

紙が小さい場合は、紙のサイズよりも大きい木製パネルや板に貼って、水張りテープで固定します。

大きな紙を木製パネルに貼るのって難しいんですよね(^^;

私は四つ角にシワを作るのが得意です(笑

最近は大きな作品はアクリル絵の具でキャンバスに描くので、水張りするのは主に小さな紙です。

…というわけで、今回は小さい紙の場合の水ばりをご紹介します(^^

小さな紙の場合木製パネルでなくても、ホームセンターなどで売られているベニヤで大丈夫です。

【水張りの道具】

・ベニヤなどの板
・水彩紙
・水張りテープ
・刷毛
・水入れ

紙は水張りテープを貼る幅も考慮して、描きたいサイズより大きめにします。

【水張りの方法】

水張りテープを紙の4辺分、水彩紙の辺の長さより長めに切っておきます。

水彩紙の裏に刷毛でお水をたっぷり塗ります。

紙が水を含んでしっとりしたら、水を塗った面を下にして板に置きます。

たるみやシワのない伸ばした状態で、長い辺から順に水張りテープで貼ります。

4辺全部貼り終わったら、平置きにして紙を完全に乾かして終了です。

私は木製パネルに水張りするのが苦手で、「水張りって難しい」って思っていたのですけど、以前にテレビで見ていたら、画家の安野光雅さんがガムテープでベニヤに水張りをしているのを拝見し、え~、こんな自由で良いんだ!って衝撃を受けました(笑


↑これは水張りテープじゃなくてマスキングテープ

知識が作品の質を上げる

創作画を描く内容、テーマ、作風はそれぞれ。

描く手順や描き方も個人差があると思います。

でも、全く同じ絵でも、紙がヨレヨレに波打っているのかぴしっとしているか、紙が下描きの跡でボロボロなのかキレイなのか…

なんてことが作品の仕上がりに影響してきます。

創作画はあなたの世界観を自由に描くわけですが、その作品をより魅力的に表現するために、下絵の転写の方法とか、水張りの方法とか…

ちょっとした画材や画材の使い方の知識が力になるってこと、ありますよね!

私もまだまだ勉強中です(^^