特別養護老人ホームでの絵画教室の思い出

先日、高齢者施設へ入居されている方のための絵画教室での、経緯や内容について書きました。

特別養護老人ホームでの絵画教室〜リハビリとしての絵画

私が開催している絵画教室の大人クラスでも、お仕事や子育てを終えて時間ができてからご参加される年代の女性がいらっしゃいますが、今のシニア世代の方って皆さん若々しいですよね(^^

施設に入居される高齢者の方は、絵画教室に通われるシルバー世代の方達よりまたひとつ上の世代と言う感じです。

さて、今回は特別養護老人ホームでの絵画教室で印象に残ったことや大切だと思うことなどを書いてみたいと思います(^^

入居者さまに好評だったモチーフは

特別養護老人ホームでの絵画教室は普通にモチーフを見て静物画などを描くのは難しかったため、私が描いた見本の絵を見て描く、というスタイルで進めていました。

果物、野菜、お花、ぬいぐるみ、小物…

毎回違ったテーマを決めて、私が描いた簡単な絵の見本と実際のモチーフをお持ちしました。

テーマは季節感も取り入れて決めていましたが、参加者の皆さんに好評だったテーマと言えば、やっぱり

食べ物!

でした(^^

リンゴ、ミカン、柿、イチゴ…
サツマイモ、カボチャ、椎茸、人参、トマト…

食べ物って、皆さんそれぞれ思い出がありますよね!

特養の絵画教室のご参加者の皆さまからも

「子どもの頃母がサツマイモを蒸かしてくれて…」
「子どもがカボチャが好きでね…」
「庭の畑にトマトを植えた時…」

なんて思い出話が飛び出したものです。

野菜や果物をテーマにするときは、なるべくその時々の季節に合わせたものを選ぶようにしていくと、「タケノコは今が時期ですよね」とか、「今年の柿はもう食べましたか?」なんてお話のきっかけになりました。

食べ物を描くことで思いがけない記憶が蘇ったり、普段にはない会話が飛び出したりするので、ただ食べるだけじゃなくって「描くこと」の効果って言うのはあるものだな~と思います(^^

忘れられない辛い涙

特別養護老人ホームでの絵画教室で、忘れられないできごとがあります。

ある時、初参加された女性がいました。

体の半身が不自由で絵筆を持つのも困難なようでしたが、ちょっと見ただけでも以前に絵を描いていた方だなってことがわかりました。

思わず

「お上手ですね!絵心がおありですね?」

と伺ってみたところ…

「こんな簡単な絵しか描けないなんて」

と涙されてしまいました。

聞いたところによると、体が不自由になる前はたくさん絵を描いて、賞を取ったり個展を開いたりしていたのだそうです。

でも今は体が不自由になってしまって、思ったように描くことはできない。

私も絵を描くものの1人として、もしも自分が絵を描けなくなったら…

とその女性の気持ちを想像すると、やりきれない気持ちになったものです。

絵を描くことから蘇る、人生の優しい記憶

もうひとつ、忘れられない思い出があります。

私の絵画教室で使ってるモチーフの貝殻をたくさんお持ちしたときのこと。

私が描いていった見本を見て描く人もいれば、実物の貝殻を見て描く人もいる、って感じだったのですけど、お一人、海の絵を描いた女性がいました。

砂浜と海、海水浴のようすだったでしょうか。

「昔、お父さんが海に連れて行ってくれたの」

と、懐かしんでいました。

施設のスタッフの方のお話によると、「お父さん」っていうのは父親のことじゃなくてご主人のことだそうです。

貝殻を見て、ご主人に海に連れて行ってもらったこと思い出したんですね。

ご主人のこと、愛していたんだなぁ

って、思わず涙目に…。

そしたら、リハビリ科のスタッフの皆さんも涙目(笑

絵を描くことから蘇った優しい記憶たち。

人生って、なんだか切なくて愛おしいものですね。

絵画教室の子どもたちとの交流

高齢者施設に入居されている方たちは、私が運営している絵画教室に通うシルバー世代の方達よりもさらに上の年代の方が多いです。

私の絵画教室の子どもたちは小学生メインですが、小学生たちから見るとおじいちゃんおばあちゃんより更に上の、ひいおじいちゃんひいおばあちゃん世代。

普段なかなかお互いの交流がない世代のように思います。

特養の絵画教室では、簡単に描けるように工夫をしてもなかなか絵を描くのが難しい方もいらっしゃいました。

そこで、私がやっている絵画教室の子どもたちが早めに制作が終わって空いた時間に「塗り絵」を作ってくれて何度かお持ちしました。

高齢者の皆さんも塗り絵は好きだし、子どもたちが作ってくれた塗り絵ってことで、普段絵を描くことが難しかった方にも喜ばれていました(^^

そして、塗り絵を作る方の子どもたちも「高齢者施設のおじいちゃんおばあちゃんに喜んでもらえる」っていうのは嬉しかったようです。

特別養護老人ホームって、近隣の幼稚園の子どもたちが訪ねたり、離れた世代間の交流をいろいろ工夫していますが、絵画教室でも描くことや作ることを通して交流できたら素敵ですよね!

子どもたちに感謝です(^^

高齢者施設での絵画教室で一番大切なこと

特別養護老人ホームに入居されているのは、自宅での介護が難しい方たちです。

たしかに、体が不自由だったり、100才近い高齢だったり、認知症があったりします。

年齢を重ねてできなくなってしまったこともあり、その事実を受け入れるのも大変つらいことだと思います。

ですけど、戦争の辛い時代や貧しかった日本を支えて来てくださった世代の方たちです。

実際に、英語、書、絵画、手芸などなど、若い人たちよりも実は全然達者だったり…。

皆さんホント明るくて、ユーモアがあって、人間力があるってこういうことかな、って思うような出来事もたくさんありました。

高齢者施設で絵をご指導させていただく時に一番大切なことは、

ご入居者の皆さんへの尊敬と感謝を忘れないこと

なのではないかと思います。

特養の絵画教室の参加者さまからは「ちょっと!お姉さん!」なんて呼ばれて、少し頼りない先生だったかもしれませんが(笑

私にとって多くのことを学ばせていただく機会となり、ご参加いただいた皆さま、施設のスタッフの皆さまに感謝しています。

ここまでお読みくださり、ありがとうございました(^^