発達障がい・知的障がいがある不登校の子の絵画指導の思い出

今までに下は3才から上は104才まで、いろいろな方と絵を通して関わらせていただきました。

通常個別レッスンはお受けしないのですけど、例外的に発達障がいがあるお子さん、知的障がいがあるお子さん、不登校のお子さんなどの個別絵画指導を受け持ったことがあります。

だいたいは夏休み期間中の単発の指導でしたが、週1回などのサイクルで継続的に指導したお子さんもいます。

今回はずいぶん前のことですが、思い出深いAくんの思い出です(^^

学校では一度も使わなかった絵の具セット

いろいろあって夏くらいから学校へ行かなくなった6年生のAくん。

学校へ行く代わりに発達障がい児者支援施設に毎日通うことになりました。

その支援施設とのご縁により、週1回1時間程度、個別の絵画指導をすることになりました。

ウルトラマンが大好きなAくんは、いつもウルトラマンの絵を描いている、と聞いていました(^^

知的障がいと発達障がいがあると聞いていたので、ウルトラマンがこだわりなのか?ウルトラマン以外の絵も描くのか?

わからないままスタートした1回目の作品がこれ↓

本人は絵が好きってことでしたが、「どうせできないから」と学校では絵の具を使わせてもらうことはなく、お持ちいただいた学校の絵の具セットは真新しいままでした。

学校の代わりに通うことになった支援施設での絵画指導なので、「図工」の代わりってことになりますが、本人にとって楽しみな時間になればいいな、って考えていました。

こだわりと思っていたけど実際は?

ウルトラマンが好き。

いつもウルトラマンばっかり描いている。

ってことでしたので、Aくんに取ってウルトラマンはこだわりなのかな?と最初は考えていました。

なので、余暇活動的な「楽しみ」って位置づけであれば毎回ウルトラマンを描くのでもいいのかな、って(笑

初代ウルトラマンから始まって、ウルトラの父、ウルトラの母、ウルトラなんとか…

毎回ウルトラマンを描く中でも、画材や絵の具の使い方を覚えていけば技術は向上しますからね。

って思っていたのですが、2回目のレッスンで「何を描こうか?」って本人と相談したところ、ペットのワンちゃんを描くと言いだして、あれ?ウルトラマンはこだわりではなかったのね、ということがわかりました。

Aくんにとってウルトラマンは単に「大好きなもの」だったんですね(^^

それからもたびたびウルトラマンは絵の中に登場しますが、「ウルトラマンだけを描く」ってことじゃなくて、横浜の街並の上空にウルトラマンが飛んでいるとか、絵の中に自分の好きな物を取り入れて描いていました。

絵の上達と発達

小さなお子さんの絵は発達の過程が現れるものです。

ぐちゃぐちゃ描きから始まり、その後「頭足人」を描くようになり、人を描くようになり…

という絵の発達過程は人種や文化、言語に関わらず共通だと言います。

もちろん、ぐちゃぐちゃ描きや頭足人の中にも個性は現れるわけですが、幼児期の絵の発達が脳の成長過程に左右されるのであれば、より本人の個性が表れるのはある程度内面が成長してから、と言うことになりますよね。

Aくんが最初に描いたウルトラマンは、幼児の絵、と言ってもおかしくないような絵です。

とっても可愛くてほのぼのしますけど(^^

それから半年ちょっとでしょうか。

学校の代わりに支援機関に通って来ていたAくん。

本人の中学校へ行きたい、という希望がありましたので、いろいろ厳しく指導されたこともあったと思うのですががんばって通い続け、絵の指導も週1回のペースで続けていました。

使ったことがなかった絵の具の使い方を覚えたり、今まで描いたことがなかった風景を描いたり、工作をしたり…

絵の具の使い方を教える時には「こだわり」を感じさせるようなこともたびたびありましたが、本人の素直で一生懸命な姿勢、また、日常生活や勉強の指導によっての成長もあり、絵の方も着々と成長していきました。

工作もやったよ!

絵が上達する要素と絵画指導

絵が上達するための要素っていろいろあると思いますが、その要素の中から私がまず3つ上げるとしたら、

  • 絵を描くことが好きであること
  • モノを良く見ること(認識すること)
  • いろいろなタイプの絵をたくさん描くこと

と言う風に思っています。

あと

  • 絵の具や道具の使い方をマスターすること

も大事ですね。

Aくんが絵を描くことが好きなことはよーく伝わってきましたので、これは問題なしでした(^^

いろいろなタイプの絵をたくさん描くことは、今までウルトラマンしか描かなかったAくんが絵画指導を受けるようになって経験を積んだことだと思います。

あと、「モノをよく見る」ってことに関しては、Aくんはもともといろいろなものに興味や関心を持っているお子さんだったのかも知れません。

家族でどこかにお出かけしたときなどに、まわりのようすや風景を良く見て覚えていて、絵画指導の時に描くようになりました。

「日曜日に◯◯へ行くの〜」

なんていうと、

「そうなんだ!じゃあ、今度◯◯へ行ったこと絵を描こうね。どんなだったかよく見て来てね!」

といった働きかけはしていますが、それにしてもよく覚えているなって感心したことがあります。

支援機関の周辺を歩くときなども、季節の移り変わりや草花の変化にも気がついて、

「今日は富士山がきれいだったね」
「あそこに花が咲いていたね」

なんて話をしていたそうですから、きっと興味と関心を持ってモノを良く見る、好奇心をたくさん持っていたんですね(^^

心の成長と絵の成長

Aくんが絵画指導を受けていたのは半年ちょっとだったと思います。

年末年始はお休みしたり、その他の都合でお休みした週もありますので、毎週欠かさず描いたってわけではありません。

Aくんが絵画指導の最後に描いたのがこの作品↓

この作品を描くまでの間には、ウルトラマンがでて来ない作品もちゃんと描いていますよ(笑

集大成と言うことで、やっぱり大好きなウルトラマンを描きました(^^

…とはいえ、この絵を見て「幼児の作品」って思う人は少ないのではないでしょうか。

  • いろいろなタイプの絵を描くことで表現の幅が広がった
  • 家族と外出したときのまわりのようすをよく見て覚えている
  • 絵の具や道具の使い方を覚えて上手に使えるようになった

そしてなにより

学校へ行かなくなったAくんが、がんばって半年以上の間支援機関に通い続け内面的に成長したからこそ、絵の方も成長したのだと思います。

本人の努力の賜物と言えるのではないでしょうか(^^

Aくんはその後無事に中学校に通い続け、絵に関しては中学校でもよく褒められていたそうです。

好きなことがあるっていいね!

って思わせてくれた、Aくんの絵画指導の思い出です☆